第32回柿衞賞は砂田歩さんに決定!
45歳未満の新進の俳文学研究者に贈る「柿衞賞」の第32回受賞者に、砂田 歩氏(東京都在住)が選ばれました。
第32回柿衞賞選考委員会において、砂田さんの『俳文と物尽くし―元禄三年九月一三日付加生(凡兆)宛芭蕉書簡の再検討』(俳文学会編「連歌俳諧研究」第143号、2022年9月15日発行)が満場一致で選ばれました。
本論文は、「おとりくとき」という芭蕉書翰中の文句に着目し、研究史を丁寧にふまえつつも先行研究が見落としていた同時代資料に依拠し、これを「おどりくどき」という当時流行の歌謡であることを考証し、かつ俳文の文体を規定する語であることを堅実で手堅い論証により明らかにしたご論文です。
また、単なる語義考証に終わらせず、仮名草子や近世歌謡等、近世前期文学の広がりの中で「物尽くし」の表現史を浮かび上がらせ、それらとの関係から芭蕉の俳文論、俳文観を描き出し、従来の読解を大きく進めた功績が評価されました。
なお、柿衞文庫の創始者・岡田柿衞翁を偲んで開催する「柿衞忌」では、砂田さんの表彰ならびに受賞記念講演、加えて今年は柿衞翁の魅力を語る座談会を開催します。
4月14日から開幕する「趣味満開-やるなあ!柿衞翁」展とあわせて是非ご聴講ください。
- 日 時 2023年6月4日(日)午後1時30分~3時30分終了予定
- 場 所 市立伊丹ミュージアム1階 講座室(伊丹市宮ノ前2-5-20)
- 聴講料 一般1,000円、柿衞文庫友の会500円、大学生以下無料
- 定 員 50名(先着順)
- 主な内容
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黙祷-柿衞翁をしのぶ
第32回柿衞賞の発表ならびに表彰式
選考委員 代表講演 熊本県立大学副学長・文学部教授 鈴木 元 氏
受賞者 記念講演 上智大学大学院博士後期課程 砂田 歩 氏
座談会「柿衞翁の趣味の魅力について」 当館名誉館長 坪内稔典ほか